日本財団 図書館


 

る。ここではそれぞれの海域における環境(汚染)の指標として、?汚染の度合いを示すものとして各指票の加重平均値から求めた有機汚染指標、?汚染の広がりを表わすものとして汚染海域の全体に占める比率、の二つの数値を用いた。
ここで、中、長期的に対象海域の環境改善の目標値としては、Fig.6に示すように例えば同域海域にある曽根苅田沖は周防灘全域剛直を目標値とする。

Fig.6. Graph by the organic pollution

089-1.gif

(2)環境改善の手法
環境改善工法として次のような工法があげられる。
?浚渫良好な底泥を表出させ、底質の改善を図る。
?覆砂底質の改善、有機物の溶出の抑制。
?透過堤海水交換の低下を抑える。
?作澪海水交換促進、汚泥の堆積低減。
?強制曝気DO補給の促進。
?環境共生型護岸(緩傾斜護岸)生物生息場の確保、浄化・親水機能の向上。
?レキ間接触酸化法による浄化微生物等による汚濁海水の浄化。
?養浜・干潟造成生物生息場、浄化、親水機能の増加を図る。
?藻場造成魚の生息場、産卵場としての機能向上。
(3)環境改善のベクトル(イメージ)
環境改善の手法として様々な工法がある。ここでは開発による環境へのインパクトを工法により回復するベクトルのイメージ図を示す。すなわち、物理的環境とそれによって変化する生物・化学的環境、さらにその背景にある社会環境を軸として環境を捉えた環境改善のベクトルを示したものである。

Fig.7. The vector of the environment improvement

(The image)
?:環境改善工法を実施しない場合の環境レベル
?:環境改善工法を実施した場合の環境レベル
?:生態系回復後の環境レベル

089-2.gif

(4)覆砂による環境改善事例
周防灘の苅田沖において、覆砂が行われているが(平成元年〜4年)、その際の底生生物の種類数の変化はFig.8に示す通りである。覆砂を実施した箇所は、実施しない箇所より種類数は2倍以上になっており、覆砂が底生生物の種類数の増加に大きく寄与していることが認められる。このことは環境事例のベクトルによる評価が可能であることを示している。

Fig.8. The passing year change of the benthos

089-3.gif

5. 日本型ミチゲ一ションを導入するにあたっての課題
今回、わが国にミチゲーションを導入するにあたって解決すべき事項のうち、環境目標については二段階による方法を、環境改善についてはベクトルという手法により把握することを提案した。
環境の目標については、一応、具体的な数値を提案できたが環境改善については、工法ごとの環境回復値のデータ不足により明らかにできず、ベクトルという手法を提案したに留まった。様々な規制のあるわが国に、ミチゲーションを導入、推進していくには、今後、環境改善工法による環境の回復数値をモニタリングし具体的な数値として把握し、工法ごとの環境回復値の定量的な把握が可能となるような研究を行うことが必要である。
参考文献
「底質改良事業実施指針」(社)日本水産資源保護協会S60.3「米国におけるミチゲーションの現状」Choule J.SonuH5.12
「Evolution of Habitat Delineation and Assessment in the United State」 (ECOSET 95) Elis J.Clairrain Jr.「底質改良事業実施指針」(社)日本水産資源保護協会S60.3「米国におけるミチゲーションの現状」Choule J.SonuH5.12

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION